Innovators Hundred Hiroshima イノベーターズ100広島

News
お知らせ

フィールドワーク:一人でインタビューって無理ですか?

一人でフィールドワークって不安ですよね。相手は貴重なインタビュー対象者。みんなでいけば、インタビュアー、写真係、記録係と分担できるのに、一人で行くとなると作業も3倍。しかも後日他の人と共有となれば、負担が増える。ご苦労をお察しします。

ではインタビューはしない方がいいのかといえば、いえいえ、ぜったいに行ってお話を聞いてきた方がいいです。そして、一人で行ったインタビューも後日共有してもらえれば、チームどころか参加者全体の学びになります。なので、迷っている方は是非是非行って素晴らしいインタビューをしてきてください。

ただプロの記者でもない限り作業が大変なのは変わりません(笑)。なので、いくつかポイントを共有します。

その一。お渡しした「フィールドガイド」はぜひもう一度読んでくださいね。中にはルールというよりは、ちょっとした心構えが書いてあります。それを今一度思い出すためにも一人インタビューの前に一度読むことをお勧めします。

その二。自分の聞きたいことを念頭に置きつつも、相手が話しやすい、話したいと思えるよう流れを意識してインタビューを進めることです。質問を準備して一語一句その通りにインタビューをこなすのではなく、大事な質問は抑えつつも順序はあまり気にせず、相手の流れに任せる(「半構造化インタビュー」と言い、フィールドワークにおけるインタビューの基本姿勢です。)

その三。相手に根ほり葉ほりきいて迷惑だな、という気持ちになったら、なぜ自分がここにきているのか、思い出しましょう。ここで得た学びは個人の学習のためではなく、最終的には自分たちが作り出す価値を通して還元するものであるということです。そして相手に自分の誠意が伝わるためにも、きちんと対話することが必要です(より専門的には「ラポールを形成する」と言います。)

以上のことを頭の片隅におきながら、ぜひそれぞれのテーマについて深堀りしてください。

フィールドワークは時間を要する大変な作業ですが、やればやるほど一筋縄ではいかない現実や、課題が見えてきます。でも行かなかった以前よりは確実にその人や取り巻く現状が見えているはずです。当事者の気持ちや課題が理解できれば、ご自身が今後考える解決策も確度を増していきます。

あとは細かいポイントですが、
1) 事前に質問を準備しておくこと。長い必要はありません、大事な質問が5つくらいあればいいと思います。そしてそのうちの1つ2つは、少し聞きづらいような質問の方がいいかもしれません。例えば、すばらしい雇用制度を持つ会社であれば「うまくいかなかったことはありますか?」とか、「今までにもうやめようと思ったことはありませんでしたか?」など。今回のフィールドワークはあくまでもこちらが漠然と考えていた仮説が当事者に話すことで書きかわることが重要です。
2)   可能であれば相手について少し調べ物をしておくといいでしょう。特に著名な方の場合はできるだけその人のことをあらかじめ知っておくと、メディアなどでは取り上げられていない、より本質的な質問をする余裕が生まれます。
3) 話の水の向け方。一対一だとインタビューという緊張感がない分、雑談に花が咲く場合も。次に聞く質問を頭の隅で考えて「全然話が変わりますが」と失礼をお詫びして、時間切れにならないように心がけましょう。
4)   ポイントは90分。90分を超えるとこちらも相手もだんだん話疲れてきます笑。なので、時間は少し気にしながら話しましょう。
5) 観察しよう。話すだけではなく、周囲を案内していただいたり、写真を撮らせてもらうのもいいです。より包括的にいろんなことがわかりますし、他の人への情報共有に便利です。例えば日々しなければならない業務の重大さやその人と周囲の人との関係性などですね。話が煮詰まった時などにもいいヒントになります。
6) 記録を忘れない。一人インタビューの場合音声や写真など記録がさらに大事になりますね。インタビューの時間が多少短くなってしまっても、写真などがあった方がその日の雰囲気などが他のチームメンバーに伝えやすくなります。
7) 簡単なメモは取ろう。詳細な記録は取れないと思いますが、質問を書いた紙に単語だけでも書いておくだけで随分と記録は残ります。
8) 相手にも作業してもらおう。場合によっては相手に何かかいてもらおう。こちらで全部切り盛りしていると大変なので、場合によっては白い紙などを用意してそこに色々書いてもらうのもいいかもしれません。

特に(8)は、相手に半生を振り返ってもらうムードメーターなどは大変有効です。これはただのA4用紙に自分が生まれてから現在までの軌跡をその時のご自身の気持ちの上がり下がりがどうだったかを振り返って記録してもらうものです。線をかいてもらってから、ピーク部分(最も上がっているところや下がっているところ)で何が起きたのか、そのエピソードを聞くだけでもその人の価値観が浮かび上がってきます。特に家族観や健康観、仕事や恋愛の優先順位などがみえ、その人がなぜ今こういう活動をするに至ったのか・意見をお持ちなのか、がみえます。